最近界隈で話題にもなっていますし、以前私のそれについて興味を持って下さる読者様もいらしたので、今回は私の性自認についてお話しさせていただきます。
複雑だった私の性自認
私は男性です。
……が、よく「心の中が女性なのではないか」と言われてきました。
周囲からぽくないぽくない(嘲笑含む)言われた結果、自分の性自認に疑問を持った後天的なパターンだと思います。
思いつくままに振り返ってみたいと思います。
※心に思いっきり蓋をしていたようで読み返しているうちに追加で思い出したりすることがあります。なんかあったら都度追記します。
4歳くらいから、男の子が苦手だった
これは最近、本当にふとしたきっかけで思い出してものすごくスッキリしたのですが、そういえば4歳くらいから男の子が苦手でした。
心に蓋をしていたのか知りませんが、最近まで本気で忘れていたのです。
それに気づいたとき、なんかこれまでかかっていた強大な呪いが解けたような、身体が軽くなるような感じがしました。
男子からのいじめと違和感
引越し先の幼稚園で男の子たちからやたらと陰湿ないじめに遭った(幼稚園、小学校、中学校とほぼ同じ顔ぶれだったのでずっと続きました)のもありますが、接していて「なんか価値観が合わないなあ……」とずっと感じていました。
男の子は常に
- 相手より上か下か(優劣)
- 支配か被支配か(勝敗)
を気にしているように見えました。
なんでそんなこと気にしてるんだろう。
またそれかよ……。
みたいな感じになって疲れることが多かったです。
また、
- すぐ嫉妬する
- 裏でコソコソ動く
- 陰口やばい
- 束縛えぐい
世間ではこれらは主に女性の嫌なところみたいに言われていますが、私の世界では男性が発揮していることが非常に多かったです。
女性はむしろさっぱりとしていて付き合いやすい印象です。
しかしそれは女性から見て私が異性だからであって、同性の視点から見たらまた違うのかもしれません。私は女性社会には組み込まれたことがないのでわかりません。
なんだこれ(男性性)えぐい災い呼ぶやん
高校に入ってからすぐ、まったく身に覚えがないところからいきなり大規模ないじめに遭いました。
まるで接点のない離れたクラスの男子たちや、野球部、サッカー部の同学年、先輩たちからなんかすごいいじめられる(今考えると事件性のあるやつも混ざっていました)ようになったのです。
帰宅部なのに。
それは2年生の終わりくらいまで続きました。
なんでいじめるのか直接聞いてみよう💡
よく観察した結果、主は同学年のある男子だとわかったので、ある日の昼休みに勇気を出して呼び出しました。※危険なのでおすすめしません。
彼はお友達に「タイマンだ!笑」とか言ってから、ポキポキ指を鳴らしたり首を鳴らしたり、廊下につばを吐いたり、道中の壁を殴ったりしながら私に着いてきてくれました。
すぐ近くの、渡り廊下の手前の開けたデッドスペースみたいなところに着いてから、
「先に謝っとくけど、ごめんね」
「私、何か怒らせるようなことしたんよね?」
「何かあるなら言って直すから」
って言いました。
すると、彼は急にしっとりして、俯いてもじもじしながら、私をいじめてきた理由を話してくれました。
「彼女が『かっこいい』って言ったから」
それが私が2年近く週5でいじめられてきた理由でした。
「なんそれ?」って拍子抜けした、というか、「よかった、なんか具体的に彼を傷つけるようなことをしたわけじゃないんだ」ってほっとしたというか……。
急に流れた変な沈黙が嫌でとりあえず、
「え、それ私どうしたらいいの?」
「どうしたら君を安心させてあげられるかな?」
って聞きました。
「いや、俺が悪かった。直してほしいところなんてない。今までごめん」
彼はそう言って頭を下げてくれ、最後は握手をして別れました。
その日以来、いじめはピタッと止みましたし、彼とは廊下ですれ違うと声を掛け合うような関係になれました。
本件で私が真剣に思ったのは、
「これえぐい災い呼ぶやん怖」
でした。
女の子とのほうが話が合う
気がつけば女の子とばっかり話しています。
女の子は大切な話し相手だし友人です。
なので、勘違いした男性が女性をまるで戦利品とか所有物とかモノみたいに語るあれが本当に苦手です。
逆効果だった「男らしくしろ!」という教育
両親は再婚同士で同級生のお父さんお母さんに比べるとやや高齢でした。
とくに父は亭主関白の古い考え?の人で、泣き虫の私が泣くと「男のくせにびーたらびーたら泣くな!」「男らしくしろ!」と怒鳴る人でした。
でも私から見たら、事あるごとに母に八つ当たりをしたり怒鳴り散らしている父の姿は「ああ(父=男)は絶対なりたくないな」と思わせるものでした。
それ以外でも、「男らしくしろ!」と言ってくる年上男性のほぼ全員が具体例を示してくれないし、多くの場合ご自身がなんか男らしくない言動をたくさんするので、私の中では
- 「あれ、なんかこの人たちみたいにはなりたくないぞ」
- 「同じカテゴリーに分類されるのはなんか嫌かも」
という気持ちが育っていきました。
たとえば、「清潔感を持て!」ってめっちゃ具体的に不潔な格好した人に頭ごなしに言われたら「えっ?」ってなりますよね。
無神経に傷つけてくる人や、私の世界に災いをばらまく人を見て、この人みたいにはなりたくない、仲間だと思われたくない、と思うのは私の中では自然なことでした。
あまりにも嫌だったので、それが「同じ分類を受けたくない」にまで発展したのだと思います。
「なら『じゃない』男になってそいつらを見返してやれば?」
という意見もありましたが、なんか理解できませんでした。
女性の方が男らしい?
私の解釈が間違っていなければ、「男らしい」って
- 誠実
- 忍耐強い
- 正義感が強い
- 爽やか
- 豪快
とかそういうことだと思うのですが、それでいくと私の世界では女性の方が男らしいことになります。
あと、私は「男らしくしろと言われるということは自分は男として未完成、つまり男ではないのかもしれない」と考えるようになりました。
かといって女性ではないはずなので、だんだんわけがわからなくなっていきます。
かっこいい!と思う対象は女性
男性を見てかっこいいと思ったことはないです。
「うわこの人かっこいいなー」と思うのはだいたい女性です。
仕草が女性っぽい
年の離れた姉がいるのですが、姉はすごい男勝りというかボーイッシュな人で、よく仕草とか所作とか言葉遣いで叱られていました。
それを間近で見ていた私は、それら姉への教育的指導をすべて吸収しました。
だって少しでも親の愛を独占したかったから。
そうすれば褒められると思ったのです。
動物や花が好き
母の影響で花とか動物が好きです。
母が「お花は話しかけて褒めてあげるとめっちゃ育つよ」って教えてくれてから、「なにそれ魔法みたいでかっこいい!」と思って、学校の自分の植木鉢の花に話しかけまくっていたら本当にめっちゃ育ってしまって、同級生の男子に「コイツ自分だけ栄養剤入れやがった」っていじめられました。
綺麗なものや可愛いものが好き
解釈や描写を挟まずに直感で感動するからです。
それを身に着けたいとかは思ったことがないです。私が身につけたら鏡でも見ない限り私がそれ見れないじゃん、って思っています。
持ち歩くなら時々話し相手にもなってくれるポケットサイズの木彫りの仏像とかそういうのがいいです。※現に持ち歩いています。
成長期の身体の変化には抵抗があった
小学校4年生で音楽の先生に高音を褒められました。
2年生で勉強でコケて、運動も嫌いでダメダメ問題児だった私が、初めて認められたのがそれでした。
もう嬉しくて嬉しくて、ひとりの時でも歌っていました。
ところが、5年生終盤くらいからそれが低い声になってしまって、それはもうショックでした。
せっかく見つけた自分のアイデンティティがたった1年ちょいで消えてしまったのです。
私はまたただの勉強も運動もできない子に戻ってしまいました。
あと、ひげとかすね毛が生えてきたのもすごい嫌でした。
私、集合体恐怖症ですし、なんか視覚的に気持ち悪いなと思ったのです。
よく、真剣に悩まれている性同一性障害(MtF)の方が語られるような「女性っぽさが失われていく」のような感覚はなかったです。※そもそも自分のことを女性と思っていないので。
親がとにかく坊主頭にしたがるのが嫌だった
3才だか4才だかの時に、町の大きな神社のお祭りで見かけた巫女さん?の長い黒髪と十二単衣みたいなカラフルな長い着物がめちゃくちゃかっこよく見えました。
それ以来、ずっと髪を伸ばしたい気持ちだったのですが、節約なのかなんなのかずっとミリ坊主頭にされていました。
初めて抵抗したのは小学6年生の時。
ちょうどこの頃にロン毛のキムタクがすごいテレビに出ていて、「今はああいう男の人がかっこいいんやけん」とかいってまんまと坊主頭を回避することに成功しました。
親がやたらスポーツをやらせたがるのが嫌だった
今考えると、早い段階から両親は私の心の中が女性なんじゃないかって心配していたのだと思います。
とにかくスポーツをやらせたがりました。
運動嫌いなんですよね。
父は若い頃から音楽をやっている人で、昔のアルバムとか見るとステージに立っている姿が多く、私も当然そうなるのかなって思っていました。
なので中学の部活選択で
「音楽やりたいけん吹奏楽部やりたい」
と言ったんですけど、
「男じゃったらスポーツせんかい!」
と猛反発に遭って、ひねくれ者の私は、それまで父がやらせようとしてきた野球とサッカー以外の運動部に渋々入るのでした。
丈の長い服が好き
改めて見直してみると丈の長いユニセックスなファッションが多いです。
「(巫女さんみたいで)シルエットが好き」以外でも私なりの合理的な理由があります。
末端冷え性だから
サプリでなんとかなっていることもありますが、基本的に末端冷え性なので、肌の露出を嫌います。
あと、幼少期の経験からお腹を冷やすことへの恐怖心もあるので、涼しさよりも万が一の時に暖を取れることを優先しがちです。
丈の長い服だと、縮こまれば膝まで覆えるので、体温維持にすごく便利なのです。
また、ある冬に、たまたま洗濯のタイミングが合わずに私の部屋着がなくて、「今日はどうせどこも出かけないから」と当時のパートナーのパーカーワンピースを借りたことがあって、
「なにこれひざ掛けくっついてくるじゃん!!」
って感動して以来、冬の部屋着はパーカーワンピースです。
あれすごいです。移動しても温かい空気がずっと下半身にほんのりくっついてきます。座って作業をすることが多い私には超便利。
世の女性はこんな機能的なものを着ていたのか……。冬にこれを着ないなんて人生ちょっとだけ損してる。
よくズボンのチャックを締め忘れるから
私アホなので、けっこうな頻度でズボンのチャックを締め忘れます。
でも大丈夫!丈の長い服を着ていれば見えないから安心です🙃
香水は女性ものが好き
嗅覚がわりと鋭いので匂いにはかなり敏感です。いい香りがするものは大好きです。
紫色とか桃色を感じる香りが好きなのでそうなると自然に女性ものの香水ばっかりになります。
人に嗅がせるものではなくて自分が嗅いでテンションが上がるのが香水の使い方だと思っています。
診断を受けると女性脳らしい
どこで診断をしても90%以上の女性脳と判定されます。
恋愛対象は女性
幼い頃から上記のような趣向を持っているので、私の心が女性で、恋愛対象も男性だと勘違いされることがありました。
心が女性かどうかはよくわからないんですけど、恋愛対象は女性です。
見た目で好きなることはありませんのでタイプとかないです。空気とか世界観に触れているうちに気がついたら好きになっていることが多いです。
どういうわけか何度か男性から好意を頂いたことがあり、そのタイミングで男性を好きになってみようとしたことがありますが、私にはうまくできませんでした。
女性になってみようとしたことがある
あまりに言われるし、なんか生きづらさが拭えないので、
「やっぱワイ女性なのかもしらん」
とか思って、10代で1回、20代で1回、30代で1回、女性になってみようとしたことがあります。
「かなあ……」くらいのふんわりとした疑念からですが毎回真剣でした。
とくに20代の時のやつ(Season2)は
- ネット📱があって情報収集が容易
- 近所に大きな書店があった
- そこそこお金に余裕があった
ということもあってかなり濃かったです。まじで、あと少しだった感があります。
この時にめちゃくちゃ調べたので、男性の身体から女性になるためのプロセス(費用面、治療、手術、アフターケア、後遺症、法的な手続きなど)をわりと具体的に知っています。
無理でした。
そういう目(なる対象)で女性を観察すると、私にはあまりにも高難易度に見えましたし、ぶっちゃけ興味も湧きませんでした。
日々のルーティンにしてもとても続けられる気がしない。あれを毎日続けている女性はすごいです。
また、自分が女性になった未来を想像した時に、それはぜんぜん楽しいものには見えませんでした。
フッ軽好奇心おばけの私が興味を持てないなんて、それはもう「なんか違う」のだと思います。
つまり、
男性っぽくない=女性
という方程式は、少なくとも私の世界では違うようです。それがわかりました。
結果、私は私
調べてみると、世の中にはいろんな性の分類が用意されていて、ふんわり当てはまるものもあるのですが、ぴったりくるものはなかったです。
でも、これだけの分類が私が小学生くらいの頃にあってくれたらなんか違ったのかなーって思います。
私とほぼ同い年の椿彩奈さんも著書の中で仰っていましたが、当時は今みたいな「中性的」なんてポジションはなかったんですよね。
「男」か「女」か。
「それ以外」は差別対象。
差別対象だから要矯正(至急)。
彼女のように「自分の本当の性別は女性!」とはっきりと自覚されているような場合だけでなく、観察者の主観で「こいつ男じゃないんじゃね?」「女みたい」と判定されただけでも差別対象になるというすごい世界でした。
しかも、男っぽい女の子は「ボーイッシュ」でなんかふんわりOKなのに、女っぽい男の子は即「気持ち悪い」になるという。
性別を疑われた場合「違うもん」じゃ済まないらしい
いざ性同一性障害(MtF、心が女性)ではないか、という疑惑を向けられた時、
「違うもん」
しか言えませんでした。
本人はまったくそのつもりはないので、答えを用意していませんし、考えても出てきません。何の構えもないところにいきなりボディに重たいの打たれた気持ち。
むしろ、あっちが並べてきた状況証拠を見たら、ああ、それはそう見えるかもしれない、って納得してしまいました。
こっちが体感を伴ってドン!て出せるカードといえば、「いや、だって女の子好きだけど」くらいしかなくて、それすら
- 「いやいや無理しちゃってw(嘘ついてるでしょ?)」
- 「女の子の中にも女の子が好きな人いるもんね?」
とか言われたらもう黙る(反省する)しかなかったです。
なので、もしこの疑念を向けられた場合、少なくとも自力での論破は無理なのだと思います。
結局、美しく在りたい
私は美しくありたい。
男とか女とかよくわからないけど、若く美しく在りたい。
美しい自分でいられたら、どんな目に遭おうが凛として立っていられるから。
女性に見られたいわけではないし、そこまで女性に見られる見た目もしていない。ただ、この世界ではバシッと男性に見られないと安心するのも事実です。
男性から嫉妬を受けないから。
女性と仲良くしていることが多いと、嫉妬で攻撃をしてくる男性が定期的に現れます。
多くの場合、同じコミュニティに属する男性が急に牙を剥いてきます。
嫉妬はされたが最後、本人によるいかなる弁明も意味を為しませんから、そもそも対象にならないようになるべく男性っぽさを消していたい。
あの上の方が赤くて下が真っ黒な赤黒い湿った波動を向けられるのが本当に苦手です。
どちゃくそ鈍いから人の好意や敵意になかなか気づかず、気づいたときには緊急で具体的な対処を求められる状況になっていることが多い私にはそのほうが安全でした。
臨死体験で天国を見てきて安心する
臨死体験……いや、厳密にはしっかり心肺停止して臨終判定をされかけているので1回死んでいるのですが、その際に天国を見てきました。
天国には性別どころかあらゆる「別」がなかったです。
天国は善いことをした人が選別されて行くところでも、悪いことをした人が行けないところでもなく、そもそもが私たちがずっといるところ、というか私たちの本体なので、たぶん私たちも何の「別」もないのが本来の姿なのかもしれませんね。
以上です。
同じような悩みをお持ちの方や、お子さんの性自認で悩まれている親御さん、またはこういうジャンルを研究されている方の参考になればすごいうれしいです。
長くなりましたが最後までお読み下さりありがとうございました。